今の世界一の金持ちは、3年連続でアマゾンの創業者のジェフ・べゾスである。それも初めて資産が2000億ドル(つまり20兆円超)を超した金持ちらしい。時代によって世界一の金持ちは変わるが、それは時代の反映である。2017年までは24年間マイクロソフトのビルゲイツであった。この変化は、これまでウインドウズのようなOS(オペレーションシステム)が新しい社会のインフラになっていたが、今はネットを通じた商品の購入と宅配が社会のインフラになったということだ。この2000億ドルという数字は、世界の国家予算の規模で18番目のスイスと同程度だ。ジェフ・ベゾスとビルゲイツの個人資産を足すと、隣国の韓国の国家予算をうわまわってしまう。個人の資産が国家を超える。こういう時代になったのである。
ビルゲイツを抜いて1位となったジェフ・ベゾスは母がまだ17歳の高校生の時に生まれた。その後離婚したが、ベゾスがまだ4歳の時に母親がキューバ移民と再婚し、ベゾスは養子となる。アップルの創業者スティーブ・ジョブスやアメリカ大統領のビル・クリントン、マリリンモンロー、そしてジョン・レノン、ベーブ・ルース、南アフリカの初代大統領ネルソン・マンデラも養子である。これを考えると人間に起こる様々な一見負のように見える出来事が子供の人間性を成長させているのかも知れない。
アマゾンという会社は不思議な会社である。ネットという武器を上手につかって成長してきたが、最初はネット書店だった。それは本なら実際に本屋に行って買おうが、ネットで買おうが商品のクオリティは一緒だから便利なネットで購入してくれるだろうというのが理由である。それから徐々に取扱商品を増やしていったが、長い間売り上げは急増していくが、常に巨額の赤字であった。それなのに3年で上場もしているし、その後の株価も上昇している。
しかし、御多分にもれず、アマゾンにも大きな危機は何度も訪れている。一つはスリアという若いアナリストが、繰り返しアマゾンは潰れると発表したことだ。彼とベゾスは長い間戦っていくことになるが、最終的にはベゾスが勝利した。その理由はいろいろ考えられると思うが、一つにはベゾスは常に起こる課題を解決できる優秀な人材を常にどん欲に求めたこと。もう一つがEC市場である。新しい社会に必要なもの、そういう事業をネットを通じて作るということである。また、かれがよく言う好きな言葉として「果敢に攻める」という言葉があるが、本当に果敢に攻め続けたことが大きいとも考えられる。